2010年1月11日

真珠の変色について

真珠が経年変化で変色することは最近随分と知られるようになりました。
とはいえ、一般的には「真珠は変色するらしい」といった程度に留まっているようで、そのメカニズムや、何をもって変色とするかなどについては謎...といったところのようです。

というわけで、今回はホワイト系アコヤ真珠の変色について書いてみます。

真珠の変色と言われるものの原因は、大きく分けて3種類あります。
ですが、そのうちの一つは実は変色ではないのですが、世間では変色として扱われてしまっています。

まずは、その変色ではないのに、変色とされているほうから書かせていただきます。
「真珠の表面が白濁化し、テリや輝きが鈍くなる現象」のことですが、「表面が白濁化」することから「変色」と受け取られてしまうようです。
実際には汗や皮脂、化粧品などに真珠層が侵され、透明だったガラスがスリガラス状になってしまったものとイメージしていただければよろしいかと思います。
てりが弱くなったり、輝きが鈍ったように感じる場合の原因はほぼこれにあたります。
これは技術を有するものの手によって再生することが可能ですので、真珠の状態としては深刻に考えることでもないと思います。
ただ、やはり消費者が自分でできる種類のものでもありませんし、購入したお店がアフターサービスとしてどこまで面倒を見れるかがキーポイントとなると思います。

次に「タンパク質の変色」による変色について書かせていただきます。
真珠層の断面は「レンガの壁」のような状態になっていて、レンガが真珠層、セメントがタンパク質です。
真珠層自体はほぼ無色透明のため、その奥にあるセメント役のタンパク質の色が透けて見えることになり、これが真珠の実体色(ボディカラー)となるわけです。
タンパク質は経年変化により変色しますので、これが真珠の変色となるわけです。
一般的な傾向として、黄色っぽくなるパターンと、茶色っぽくなるパターンがあります。

近年ではこのタンパク質を安定化させることで変色速度を抑える効果がある「マイクロパーマネント」などが世間でも知られつつありますが、やはり完全に変色を止める効果は得られておりません。

最後に「染料の抜け」による変色について書かせていただきます。
ほとんどの真珠には「調色」という加工が施されていて、この工程の一部には染料が使われています。
この染料が時間の経過と共に抜けていくことでボディカラーに変化が見られるものです。
もともと色を調整する程度のことで、「染める」というイメージからは遠く外れているため、理屈としてこういう変色もあるということで書かせていただきましたが、実施には上のタンパク質の変色と同時進行するわけですし「染料の抜けによる変色」を見極めるのは難しいことです。

「無調色真珠は変色に強い」と言われますのは、「染料」を使っていないことからこの影響を受けないという意味なのですが、タンパク質が変色する点は両者に共通のことですから、「無調色真珠は変色しない」というわけではありません。

2009年1月25日

「オーロラ効果」ご覧ください。

前回の記事でご案内しました白蝶真珠のペンダントですが、鑑定書の備考欄に「オーロラ効果」と書いてありましたね。

百聞は一見にしかず!
写真に撮ってみましたので、ご堪能ください (^o^)

真珠のオーロラ効果

真珠の下半分に虹のような色のグラデーションが見えますよね。
これが「オーロラ効果」です☆

2009年1月21日

無調色真珠とは?

昨日の記事では真珠の調色について書かせていただきました。
今日は「無調色真珠」について書かせていただきます。
多分短い文になると思います。 (^o^)

「無調色真珠」とは、文字通り調色を行っていない真珠のことです。
「真珠本来の色へのこだわり」という切り口で語られることが多いですが、調色したネックレスと、無調色のネックレスが並べられていたとして、どっちがどっちだか...無調色真珠をかなり扱ったことのある人間にしか判別できません。

だからこそ「こだわり」なんだと思いますが、「こだわり」というのは主観の問題なので、受け取る側がそれをどのように評価するかが大切なポイントではないかと私個人は考えます。

無調色真珠で製品をつくることの難しさは、真珠がたくさんないとできないところです。
調色の記事で書かせていただきましたように、調色は色を整えて生産効率を上げるためのものですから、これを行わないということは、その必要がないほどたくさんの量を取り扱っていないと、物理的にできないということになります。

でも、結局は「生産効率アップ」も「こだわり」もいうならば業者の都合です。
そういったうんちくは関係なく、消費者は自分が気に入ったものを買うでいいと思います。

私のお店でも両方取り扱っていますが、どっちがどっちと書いていないのはそういう気持ちからです。
無調色真珠をお探しのお客様には、お問い合わせをいただけましたら、どの商品が該当するかお答えさせていただきますので、どうぞご遠慮なくご連絡くださいませ。

2009年1月20日

真珠の調色とは?

これから真珠をお求めになろうという方に是非知っていただきたいのが「調色」についてです。
「ちょうしょく」と読みます。

真珠に人工的に色をつける加工手段のことですが、「染色」と言わないのは、染めることが目的ではないからです。

では、説明してまいりますね。

私たち人間の姿かたちが色々なように、真珠もサイズ、形、色など...個性さまざまです。
これらを似たもの同士のグループに分けることを「選別」といいまして、選別されたグループ内で製品に加工されていきます。
ネックレスは似たもの同士を 40cm ちょっと並べて、糸で通したものということができます。

選別ですが...
サイズは径を測れば自ずとグループ分けされますね。
形、キズはもって生まれたものですから、似たもの同士を揃えるしかありません。
でも色はある程度人工的に変化させることができます。

さて、どの業界でも同じことだと思いますが、ものづくりには「効率」という避けて通ることのできない問題がございますよね。
真珠の世界では大きな効率アップの手段として「調色」を行います。
微妙にちょっとずつ違う真珠たちの個性(色)をある程度抑えてあげる(=揃えてあげる)ことでグループ分けがしやすくなり、1グループ内に属する真珠が多ければ多いほど生産効率が上がるというわけです。

そして「これがウチの色だ!」といえる加工ができれば、長年にわたって安定的に商品を供給することができます。
「これは平成元年のピンク、これは平成5年...」
なんて不安定な製品作りをしていたら、お客様から継続的に買っていただけなくなりますからね。

その人工的に色を変化させて生産効率を上げる技術も、個々の違いがわからなくなるほど強制的に変えてしまうなら染色というべきでしょうが、そこまでの強制力はなく、例えるなら学校の運動会で「赤組さんは赤っぽい上着を着てきてください。赤の上着を持っていない人はピンクでもいいですよ。わざわざ買う必要はありませんよ。え?赤っぽい服は一つも持っていない?いいんですよ。あなたは青組ですから。」程度なので調色というわけです。

ダイヤモンドなど石の世界でも同じような加工(技法は全く異なります)が行われ、明らかな変色加工とは分ける目的で「エンハンスメント」と言われます。

真珠の場合、ご存知でない方もたくさんいらっしゃると思いますが、これは昔から普通に行われていることですので、そういうものだとお考えいただければよろしいかと思います。

2008年11月14日

真珠の構造と真珠層について

真珠のテリについて知るためには、まず真珠の構造を理解することをオススメします。
というわけで、今回は真珠の構造について書かせていただきます。

真珠を切った断面をお考えください。
断面のほとんどが核で、これを取り巻くように層ができています。
この層はほとんどが真珠層で、核との境目に有機質層、稜柱層(りょうちゅうそう)がしばしば見られます。
また、この層は顕微鏡で見ると何百もの層になっていることが確認できるものの、目視できるものではありません。

では、この層をもっと拡大していきましょう。
話がややこしくなるので、有機質層、稜柱層はよそに置いといて、真珠層に限定します。

アコヤ真珠の真珠層は 1mm にも満たないものです。
粗悪品の代名詞である「薄まき」は一般的に 0.25mm(官製ハガキの厚さ)以下のものをさします。
そして真珠科学研究所の花珠最低基準値が 0.4mm です。


参考) どうして 0.4mm なのか?
健康な母貝が当年モノ(挿核手術から浜揚げまでの工程を1年以内に完了する)といわれる養殖期間で巻き上げることができる数値が 0.4mm と言われています。


この1mm にも満たない真珠層を拡大していきますと、数百の結晶が重なった(層になった)ものであることがわかります。

真珠層の結晶(炭酸カルシウム)は、厚さ 0.3ミクロン(=0.0003mm)です。
そして結晶と結晶をつなぎとめる役割を担っているのがタンパク質です。
厳密には真珠層の結晶とタンパク質は、煉瓦塀の煉瓦とセメントの関係だと思ってください。

ですが、話をわかりやすくするためにちょっと見方を変えます。
真珠層の結晶を左右につなぐのも、上下につなぐのもタンパク質です。
左右をつなぐタンパク質の幅は上下をつなぐものに比べると薄いので、構造的には煉瓦塀より樹木の年輪やバームクーヘンをイメージしていただいて良いかと思います。
核→タンパク質→真珠層の結晶→タンパク質→真珠層の結晶→タンパク質→真珠層の結晶...
といったイメージです。

「タンパク質→真珠層の結晶」を1層と考えると、この1層の暑さは、タンパク質の厚さが 0.02ミクロン(=0.00002mm)ですので、0.32ミクロン(=0.00032mm)ということになります。

つまり、真珠層のまき厚測定値が 0.4mm なら、1,250層 から成り立っていることになります。
※実際には核に張り付いたタンパク質はもっと厚いのですが、ここではその差は無視します。

花珠基準の 0.4mm と、薄まきの 0.25mm の間には、0.15mm しか違いがないと考えがちですが、実は 0.15mm というのは、470層弱の差なのです。
何億の中の 470 は誤差の範疇かもしれませんが、1,000前後の話の中で 470 は大変大きなものと思いますが、いかがでしょうか?

では、今回はこの辺で。
この構造がテリにどう関係してくるのかは次回以降徐々に書かせていただきます。