2008年11月14日

真珠の構造と真珠層について

真珠のテリについて知るためには、まず真珠の構造を理解することをオススメします。
というわけで、今回は真珠の構造について書かせていただきます。

真珠を切った断面をお考えください。
断面のほとんどが核で、これを取り巻くように層ができています。
この層はほとんどが真珠層で、核との境目に有機質層、稜柱層(りょうちゅうそう)がしばしば見られます。
また、この層は顕微鏡で見ると何百もの層になっていることが確認できるものの、目視できるものではありません。

では、この層をもっと拡大していきましょう。
話がややこしくなるので、有機質層、稜柱層はよそに置いといて、真珠層に限定します。

アコヤ真珠の真珠層は 1mm にも満たないものです。
粗悪品の代名詞である「薄まき」は一般的に 0.25mm(官製ハガキの厚さ)以下のものをさします。
そして真珠科学研究所の花珠最低基準値が 0.4mm です。


参考) どうして 0.4mm なのか?
健康な母貝が当年モノ(挿核手術から浜揚げまでの工程を1年以内に完了する)といわれる養殖期間で巻き上げることができる数値が 0.4mm と言われています。


この1mm にも満たない真珠層を拡大していきますと、数百の結晶が重なった(層になった)ものであることがわかります。

真珠層の結晶(炭酸カルシウム)は、厚さ 0.3ミクロン(=0.0003mm)です。
そして結晶と結晶をつなぎとめる役割を担っているのがタンパク質です。
厳密には真珠層の結晶とタンパク質は、煉瓦塀の煉瓦とセメントの関係だと思ってください。

ですが、話をわかりやすくするためにちょっと見方を変えます。
真珠層の結晶を左右につなぐのも、上下につなぐのもタンパク質です。
左右をつなぐタンパク質の幅は上下をつなぐものに比べると薄いので、構造的には煉瓦塀より樹木の年輪やバームクーヘンをイメージしていただいて良いかと思います。
核→タンパク質→真珠層の結晶→タンパク質→真珠層の結晶→タンパク質→真珠層の結晶...
といったイメージです。

「タンパク質→真珠層の結晶」を1層と考えると、この1層の暑さは、タンパク質の厚さが 0.02ミクロン(=0.00002mm)ですので、0.32ミクロン(=0.00032mm)ということになります。

つまり、真珠層のまき厚測定値が 0.4mm なら、1,250層 から成り立っていることになります。
※実際には核に張り付いたタンパク質はもっと厚いのですが、ここではその差は無視します。

花珠基準の 0.4mm と、薄まきの 0.25mm の間には、0.15mm しか違いがないと考えがちですが、実は 0.15mm というのは、470層弱の差なのです。
何億の中の 470 は誤差の範疇かもしれませんが、1,000前後の話の中で 470 は大変大きなものと思いますが、いかがでしょうか?

では、今回はこの辺で。
この構造がテリにどう関係してくるのかは次回以降徐々に書かせていただきます。

2008年11月12日

真珠のテリとは何でしょう?

今回は真珠の照りとは何ぞや?について書いてみます。

いきなり答えから書きますと、真珠のてりとは「干渉色を伴った輝き」です。
「干渉色を伴った輝き」とは、百聞は一見にしかず...といいますが、言葉から想像するのは難しいと思いますので、写真や実物をご覧になって「これがテリか...」と受け入れていただくのが良いと思います。

ここで大切なのは、このテリ...
実は真珠自体に着いている色ではなく、真珠自体が発する輝きではないということです。
全ては光源があってこそ現れる「現象」なのです。

では、どうしてそのような「現象」が起こるのでしょう?
答えは真珠の構造にあるのですが、次回から書いていこうと思います。

2008年11月 7日

サラジェシカパーカーのパールネックレス

アクセスログを見ていて気がついたこと...

「サラジェシカパーカーのパールネックレス」で検索している人がいるのに、「鈴木京香のパールネックレス」では見当たらないのはなぜでしょうか!?

2008年11月 6日

外套膜の補足

前回のエントリーで真珠ができる仕組みを書きました。

今回は外套膜に関する補足を書こうと思います。

貝殻と外套膜は外套膜外液という粘性の高い液体を挟んで密着しています。
外套膜外液が貝殻になり、その外套膜外液を分泌するのは外套膜...
よって外套膜が貝殻をつくる...と、前回書きました。

これを厳密に説明しますと、外套膜の一部分である外面上皮細胞が外套膜外液を分泌し貝殻をつくります。

外套膜を断面が見れるようにカットしたと思ってください。
上(貝殻側)は外面上皮細胞、下(内臓側)は内面上皮細胞、その中間は結締組織と言われます。
貝が内臓側に貝殻を作らないのは、内面上皮細胞にその能力がないからです。

ところが、挿核手術のときに使用するピースは小さくカットするとはいえ、3層構造のままです。
決して外面上皮細胞だけを剥いで使用しているわけではありません。
3層構造の状態で想像を膨らませると、内面上皮細胞が内側(核側)のまま真珠袋が完成しても、外套膜外液が分泌されないから真珠はできないのでは...? ということは、挿核手術はピースの表裏まで考えて行っているの? などの疑問が湧いてきます。

実は、母貝の体内で結締組織と内面上皮細胞は破壊され、外面上皮細胞だけが残るのです。
その理由は解明されていません。
そして、外面上皮細胞は真珠袋へと成長(外套膜としての再生)し、外套膜本来の機能である「貝殻をつくる」ことをはじめます。(=真珠をつくります)

2008年11月 3日

真珠袋とは何でしょうか?

前回のエントリーで「真珠とは真珠袋内部でできた物体のこと」と書きました。
じゃあ、真珠袋って何なの?という部分を今回は書いていきます。

真珠貝の内側のキラキラした部分が真珠層だということをご存知の方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?
ご参考までに、反対の(貝殻表面の)ゲジゲジした面を「稜柱層(りょうちゅうそう)」といいます。

真円真珠が発明される以前に養殖で作られていた「半径真珠」といわれるものは、貝殻の内側に半球の型(核)をひっつけ、その形に合わせて真珠層が成長した部分を削って利用したもので、今はマベ貝がその代表となっています。

では、その真珠層を作り出しているのはどこの誰かといいますと、「外套膜(がいとうまく)」です。
外套膜とは貝殻の内側(真珠層)に密着していて、同時に内臓を覆っています。
貝殻と内臓の仕切り膜と言ったほうがイメージしやすいでしょうか?
真珠貝として知られたもの以外の貝でも外套膜を持っています。

外套膜と貝殻は密着していると書きましたが、正確には両者間に外套膜外液という粘性の高い液体が存在し、この液体が少しずつ固体化して貝殻になります。

と、ここまでは前置き。
なぜそこからはじめたかといいますと、この外套膜が真珠づくりにとても大切な役割を担うからです。

アコヤ貝に核を挿入すると真珠層が巻きつき真珠になるという説明を多く目にしますが、貝が核に真珠層を巻きつけていくわけではありません。
天然真珠の説明で「砂が体内に入り、異物から身体を守るため...」というのも間違いです。

もしそれが正しいなら、挿核手術のときに核だけ入れればいいということになりますよね。
でも実際には核にピースと言われる細胞をひっつけて入れています。
このピースの正体が外套膜で、真珠づくりの主役なのです。

ピースはアコヤ貝からとった外套膜を 2-3mm角 に切ったもので、母貝の体内で栄養分を摂取しながら核に沿って成長していきます。(正確には細胞が自らを本来の形に再生しようとします。)
これはピースが袋状に成長する性質をもっているからです。
そして最終的に核を覆いつくします。
真珠袋の完成です。

真珠袋が完成すると、外套膜が貝殻をつくる要領で真珠袋内側に外套膜外液を分泌し、核の面に真珠層が形成されていきます。
こうして真珠が完成します。

ここでお気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、真珠をつくるために不可欠なものは核ではなく、真珠袋だったのです。
核は「真円真珠」をつくるために用いられた「型」であって、理屈的にはピラミッド型の核を用いればピラミッド型の真珠ができることになります。

外套膜の細胞が成長して袋状になり、その内部で真珠が作られるのです。

天然真珠と養殖真珠を鑑別する方法として、レントゲンで真珠内部を確認し、ピースがあるものが養殖真珠...という説明を目にすることがありますが、これは間違いです。
ピースは真珠袋に成長し、その中で真珠ができるので真珠の中にピースが残ることはありません。

その天然真珠ができるのは偶然の結果と言われます。
それゆえ大変に希少なものだと...
確かに偶然の結果ですが、その偶然とは、よく言われる「砂などの異物が体内に入ったこと」ではなく、「外套膜が破損して破片が体内に入ったこと」なのです。

神秘的ですねぇ♪

2008年11月 2日

そもそも真珠とは何?

真珠が難しいのは、生物学的に誕生するところが他の宝石とは違うからではないかと...
そしてそのメカニズムの多くが今日でも解明されていないからではないかなぁ...と思っています。
また、人間が手を加える(加工する)前から輝きを放つところも異質です。

生物学、光学に興味のある方なら、真珠はとても興味深いものだと思いますが、真珠を買おうとする人がこれらを知らないと良い買い物ができないわけでもありません。
よって、真珠屋の私としては「ざっと説明します。」「簡単に説明します。」とすることによって、真珠の「得体の知れない度」を低くしたいと考えるわけです。

しかし、実際には真珠を少し勉強して「面白い」と感じる方は非常に多く、だったらそういう方々の好奇心を満たすだけのコアな内容の説明も必要なのでは?と感じているところです。

そんなわけで私のネットショップ上にそういうページを立ち上げる前に、試験的にこのコラムであれこれ書いてみようかなと思います。

真珠の歴史は数千年単位で語られていますが、もうそこまでになると「とにかく古いってこと」と大雑把に理解するしかありません。
「要するに最古の宝石なんだな」と。

そして人類は真珠を得体の知れない美しいもの(神聖なもの?)として、その歴史をスタートさせました。
何しろ数千年の歴史がありながら、その誕生のメカニズムがわかったのはここ100年以内のことで、しかも未だにそのすべてが解明された訳ではありませんから当然のことかもしれませんね。

古代人と真珠の関係を探っていくと、たくさん興味深いことが出てきます。
例えば、「天気によって表情を変えること」を神のお告げのように解釈したり、真珠自身が感情を持っていると解釈したり、有名なところでは満月の夜に落ちてきた雫が海底で口を開けていた貝に入ったとか。
仕組みがわからず、全ての貝が持っているものでもなく、むちゃくちゃミステリアスな存在で、そこに人類が魅了されたんだろうなと思うほかありません。

日本や中国では「龍」との関連性を多くいわれ、他国では「月」など、それぞれの宗教観によって想像を膨らませたことが想像できます。

さて、真円真珠が発明されて100年。
今ではある程度大きな流れで真珠誕生のメカニズムが明らかになりました。
ところが、現代においても神秘的路線を敬承する説が一般に広く誤認されているのは驚くところです。
真珠は伝説的で、ミステリアスで、ドラマティックなものであるほうが、私たちの心に響くのかもしれません。
よって科学的には間違った説であっても、心を躍らされるストーリーを希望的感情で支持してしまうのかもしれません。

では、そもそも真珠とは何でしょうか?
答えは「真珠袋」内部でできた物体のことです。

では、真珠袋とは何でしょうか?
答えは「次回」!(笑)

2008年11月 1日

和珠とアコヤ真珠の違い

「和珠とアコヤ真珠の違い」というキーワードでご来店いただいたお客様がいらっしゃいましたが、お店のどこにも答えはなかったと思いますので、ここで書いておきたいと思います。

「和珠」と「アコヤ真珠」は同じものです。
「アコヤ真珠」は通称「和珠」として通っています。
いつからそう呼ばれだしたのか、誰がそう呼びはじめたのかはわかりません。

今やほぼ全てが中国産の淡水真珠はもともと日本で養殖が始まったものです。
技術が中国へ流れることなく、日本でずっと生産が続いていたなら、アコヤ真珠も淡水真珠も日本産となっていたと思われ、日本製の真珠=和珠という言葉はどちらを示すものかわからず死語になっていたかもしれませんね。