2008年3月 6日

シドニーでアパートを借りたときの話

駐在員の場合、家賃を会社が負担してくれることは普通にあることです。
贅沢な悩みですが、自由度の低さが問題です。

会社の規定内で選ばなくてはならないので、個人のライフスタイルを重視できるものではありません。
例えば、ものすごく家が好きだったり、インテリアにこだわりがある人なら、収入の半分を家賃につぎ込んでも良いと考えても、それはひとつのライフスタイルで、他人が意見できることではありませんよね。

そうではなくても、住むところを選ぶときには誰だって重視するポイントってあると思うのです。
立地条件だったり、広さだったり、間取りだったり...
会社の規定はそういったことまで考慮されていることは少なく、特に平社員の駐在員の場合は、大抵、最低の暮らしができる程度で設定されているものと思います。

私の場合、仕事柄、旅行客から病気とか緊急の用件で電話が入るとすぐに動かなくてはなりませんでしたので、できればシドニー中心部に住みたかったのですが、家賃相場が規定を大きく超えてしまうためムリでした。

なので、可能な限り中心部に近く、電車やバスの便が良く...と考えました。

日本人の多くはノースシドニーの住宅街を好みました。
確かに環境的にはとても良く、クリーンだし、日系スーパーマーケットもありましたから、よくわかります。
が、腹痛で苦しむお客様から電話がかかったときのことを考えると自分の生活環境より、仕事をスムースにこなせる環境を選ぶしかありませんでした。

私はキングスクロス界隈にターゲットを絞りました。
キングスクロスというのはいわゆる繁華街で、シドニーでは危険な地区と言われています。
が、日本人観光客が多く利用するホテルも数軒あり、市中心部へもクルマで5分程度という、私にとっては好立地条件でした。

ところが、実際に不動産屋さんをまわると、会社規定の家賃ではムリでした。
そこで、支店長に「オーバーする分は自己負担でも良いか」訊いてみると、当然OKしてもらえると思っての相談でしたが...
「会社の規定を超える贅沢を望むなら、全額自己負担にしなさい」と...

今ではその意味も理解できますが、当時は全くスジの通らない話だと思いました。

結局、平日に一日休みをもらい、「もっと範囲を広げて探す」ことになりました。
赴任してから会社経費でホテル暮らしだったので、会社としても一日も早くアパートを決めてもらいたかったのです。

私は「今日決めなければならない!」というプレッシャーを背負って出掛けました。
15時を過ぎてもまだ決まっておらず、不動産屋さんでも「その予算ならルームシェアよね。○○に行ってみれば?ルームメイト募集の貼り紙がしてあるよ。」なんていわれる始末...

15:30頃、前に行ってダメだったキングスクロスの不動産屋さんへもう一度行ってみると、「また来たのか!」と顔に書いてある女性が応対してくれました。
「どう?あと30ドル出せるの?」
「ムリです。」
「じゃあムリね。ごめんなさいね。」

不動産屋さんは大抵17時で終わりです。
残業はしませんから、物件を見て、契約書をもらって...という段取りを考えると、もう時間的に限界ギリギリのところです。

私は支店長に怒られる覚悟を決め、今日の契約を諦めてしまいました。
で、その女性にはじめて実情を話しました。
駐在員として来たこと。
会社が家賃を全額負担すること。
規定を超える額の自己負担ができないこと。
今日アパートを決めてこいと休みをもらったこと。
などなど...

そして、立ち去ろうとしたとき...
「わかったわ。ここを見てきたら?」と。
鍵と手書きの地図を渡され、「え?家賃はいくら?」と訊いてみると、会社規定より安い!
普通なら「最初から出せよ!」とブチ切れそうになる話ですが、このときは「ありがとう」しか思いつかなかったです。

アパートはヨットハーバーのほど近くにあり、広い駐車場があり、プールがあり、エレベーターがついていて、もちろん部屋はワンルーム(オーストラリアではバチュラーといいます。独身ってコトです。)ですが、なんと壁一面がガラスで、ヨットハーバーが一望できるではありませんか。
日光も良く入ります!
そんなアパートを楽しむ時間的な余裕がないことはわかっていましたので、私にはもったいないような好物件でしたが、当然そこに決めました。

後になって思ったことですが、他の不動産屋でも「かくし玉」があったのではないか?
もしかしたら市中心部でも予算内の物件があったのではないか?

決めたアパートに満足していましたので、そんなに深くは考えませんでしたが、それがシドニーの不動産屋さんの実情であったことだけはいろんな人たちに話しました。

2008年3月 1日

バナナ・サンドウィッチ

オーストラリアで驚いた食べ物、バナナ・サンドウィッチ。
恐らく日本人の多くは私と同じリアクションで「え~っ!?」、しかも「え」には濁点がついているくらいのところだと思います。

何気に会社で同僚と話していたときに「バナナ・サンドウィッチ」という言葉が耳につきました。
私はそこで会話をとめて、私が聞いた言葉が間違いでないことを確認しました。

日本にもバナナボート、まるごとバナナなどのデザートがありますから、そういう生クリームと合わせた系なら、何の違和感もないわけですが...
何でもオーストラリアでよく使われる普通のソフトフランスパン的なサンドウィッチ用のパンでバナナをはさんで食べるのだとか...
「わざわざパサパサさせる意味はどこにあるのか?」と思いきや、パンの切断面にはバターかマーガリンを塗るそうで、オーストラリアでは極めて普通の庶民の味だそうです。

食べたくない~っ!
と体が反応しましたが、脳は違う指令を出しました。

「チャレンジしてみろ!まずけりゃ捨てるだけ。所詮100円くらいのことだ。話のタネだと思って食べてみろ!」

私は勤務中にもかかわらずすぐにオフィスを抜け出し、近くのデリへ。
バナナ・サンドウィッチを注文すると店員さんは何事もなかったかのように、当たり前にパンを取り、ナイフを入れ、バターを塗り...そのパンとバナナを1本私に渡しました。
自分で食べる前に皮を剥いてサンドしろってことなんですね。

私はオフィスに戻り、席に着き、勤務中にもかかわらずバナナ・サンドウィッチの調理をはじめました。
パンの太さとバナナのそり具合が微妙に合わなかったので、バナナを真ん中あたりで分割しました。
スタッフ全員が注目する中...

パクリ...

「別に...」
「...。」 スタッフ落胆...

「まずくはないけど、どうしてわざわざパンにはさむの?」
「...。」
「バナナはバナナでそのまま食べて、パンはパンでそのまま食べるわけにはいかないの?」
「...。」
「はさむ意味がわからない。」
「...。」

私は少し腹が立ちました。
「そこに山があるから登るんだ」みたいな、「そこにバナナとパンがあったからはさんでみたんだ」的発想で、あまり知性が感じられないところがすごく嫌でした。

しかし、オーストラリア人が私の反応にあまりに落胆してしまったので、これではマズイと、私はそれからしばらくの間朝食はバナナ・サンドウィッチと決めて、オフィスで食べるようにしました。
2週間くらいは続いたんじゃないかな?
それだけ食べても、サンドウィッチにする意味は見つからないままでした。