雑貨ビジネス要注意 まとめ編
数回にわけて書いた記事ですが、ここでまとめておきます。
一部修正しております。
私は渡米前に三軒茶屋のレンタルビデオ店でアルバイトをしていました。
そのビデオ店では同じ世代(大学生)のアルバイトがたくさんいて、Sくんは服飾系の専門学校を出てアルバイト生活をする私より1つ年上のおしゃれ達人でした。
あるとき彼は(私たちにとっては突然に)ディスコのDJを目指しはじめ、ビデオ店と時間が重なるため辞めていきました。
その後もちょくちょくお店に顔を出していたので縁が切れることはありませんでしたが...
渡米後半年以上経ってSくんから電話がありました。
何でも東京でメジャーなDJがニューヨークから帰ってきたときにアニエスべーの野球帽をかぶっていたそうで、調べたらアメリカのアニエスべー独自開発の商品とかで、他国では手に入らないとか...
それを買って送って欲しいという内容でした。
私は快諾し、翌日ソーホーのアニエスべーに出向きました。
その野球帽は 20ドル弱(だったと思います)で入り口付近に重ねて置いてありました。
野球帽としては高価でしたが、アニエスべーといえば当時松田聖子さんが家着として愛用しているといったことがきっかけで日本で大ブレイク。バブル景気がそれを後押しして一気に誰もが知るブランドへと成長した背景があり、そんなブランドの商品で日本では入手できないとなればSくんにとって税、送料、支払い手数料を含めると 5000円近くになったものの安い買い物だったのかもしれません。
一刻も早く欲しいというSくんの希望があったため、私はその足で郵便局に行き、エクスプレス便で発送しました。
2~3日後にはSくんからお礼の電話が入り、大変気に入ったようでよかったです。
その際に、友人が店長をしているブティックでこれを売りたいという希望があり、手に入るだけ送って欲しいと言われました。
アニエスべーの野球帽をビジネス(小遣い稼ぎ)にしようと考えたSくん。
20ドル弱の野球帽が8000円で売れるのだとか...
そこで、手に入るだけ全部買って送って欲しいと言います。
まだ彼に送った野球帽のお金ももらっていませんでしたが、1個分を送金するのも、100個分を送金するのも手数料はさほど変わらないからまとめて送金すると言います。
帽子を販売するお店からお金をもらったらすぐに送金するから何とかなるか?というので、
自分はクレジットカードを利用して、その請求が来るまでにお金があれば良いわけなので、1ヶ月以内に送金できるならOKだと返事しました。
普通はいくら友達でもお金の口約束はしないものだと思います。
しかし、自分にとってもひとつのチャンスなのではないか?と考えた私はSくんを信じてみることにしました。
翌日ソーホーのアニエスべーに行くと、残りの野球帽は15個でしたので全て購入し、それでは足りないのではと思いマディソンアヴェニューのお店にも出向きました。ところが、野球帽はソーホーでしか扱っていないということでしたので、その日のうちにエクスプレス便で15個発送しました。
また2~3日してSくんから電話がありました。
15個では即完売してしまって足りないから、もっと何とかならないかという内容でした。
彼がDJ見習いをしているディスコの常連客からの予約分だけで20、お店に置いてもらうのに30は必要ということで最低でもあと35個は欲しいということでした。
50個手配するということは個人にとっては結構な資金が必要になり、私もビビリ気味...
翌日アニエスべーに電話してみると次回の入荷予定は1ヶ月先で25個だと言います。
10個足りませんが、まだ一度も入金がないし、この程度にしておこうと思い、その25個を予約しました。
Sくんにはその旨を伝え、1ヶ月の間に予約を取りまとめて欲しいと頼んでおきました。
また、すでに送ってある品の代金はそれまでに送金することを約束しました。
~後日
アニエスべーから電話が入りました。
あの日から1ヶ月近い時間が経ったことの証でした。
25個入荷したけど他にも欲しいと言っているお客様がいて、いくつかでもまわしてもらえないか?と言われたため、1日待って欲しいとお願いし電話を切りました。
Sくんからは未だ送金はありませんし、電話もありません。
そこでこちらからSくんに電話してみると、もう15個は完売していると言います。
どうして送金がないのか?という問いに対しては、こういう返事でした。
・お店から強い希望があって予約客には待ってもらって全部お店に回した。
・買取では金額の折り合いがつかず委託販売形式でお願いした。
・お店には支払日というものがあり、次回支払日に全額もらえることになっている。
Sくんはしきりに「申し訳ない」を繰り返し、その支払日まで待って欲しいと言います。
しかし、私もカード会社からの請求がやってきますので、できる限りのことをしたいと思うものの、限度があります。
どうするのが良いかSくんと一緒に考えました。
結局、新たに25個送るから着いたらすぐに予約客に15個以上売って現金を確保し、それをこちらに送金するということで合意しました。
そして翌日私はアニエスべーに出向き、1個もまわせないと詫びを言って25個購入。
即郵便局から発送しました。
野球帽を25個発送してから3日経っても、4日経ってもSくんから連絡がありません。
しかし予約客に15個すぐに販売して、即送金と約束したし、ちょっと連絡がないからといちいち電話していたら電話代で儲けがゼロ、場合によってはマイナスになるからとこちらからは連絡せずにおりました。
ところが、そうこうしているうちにいよいよクレジットカードの請求書が届きました。
前にも書きましたが、支払いはパーソナルチェック(小切手)を郵送するため、現金の準備にはまだ少々の猶予があります。
仕方ないのでSくんに電話...
留守電... メッセージを残します。
翌日... 留守電... 事情を詳しく残します。
翌々日... 留守電... とにかく連絡をくれと残します。
しかし、Sくんから電話はありません...
いくらDJ見習いで帰宅が遅いといえ、朝方なら絶対につかまるだろうと更に翌日、日本が朝早い時刻に電話...
つかまりました! 完全に寝ぼけた声です。
とりあえず用意できるだけのお金を今日送金すると言いますが、重大なことがSくんの口から飛び出しました。
今回の25個は前回と形が違うから非常に不評で困っている。
予約客も「え~っ!こんな形のは要らない!」と軒並みキャンセルとなっているというのです。
何でも、前回分は形がおしゃれだったが、今回のものは野球少年がかぶる無骨な形で、もはやおしゃれアイテムではなくスポーツグッズだとのことでした。
おしゃれ達人のSくんは荷物を受け取ったときすぐにそのことに気づいたそうですが、それを私に伝える前に何とかしてみようと思って電話しなかったということでした。
しかし、売れなかったといって野球帽を送り返されても困ります。
私には必要ないものだし、Sくんの希望で手配したものですから、私の立場からはS くんが責任を取るべきとしかいえません。
Sくんにしてみれば、自分がお店に取りに行ったとき現物を確認していれば、形の悪さに気付いて買わなかったし、なぜ私にその判断ができなかったのか...が本音だったと思います。
二人で歪みあってもしかたありませんので、今後は何であれすぐに連絡が取れるようにとお願いし電話を切りました。
とにかくSくんに連絡が取れたことで一安心でしたが...それも数日のことでした。
Sくんから手紙が届きました。
先日の電話で約束した最初の支払いでした。
中には郵便為替が入っていました。
これで私もクレジットカード会社に支払いのチェック(小切手)を送れます。
よかった!
Sくん、ちゃんと約束守ってくれたんだ。
...ん?
為替に記載された金額がどうも足りません。
確かに用意できるだけのお金と言っていましたが...実際には100ドルほど足りません。
今回は何とかなるとしても、次回どうなるんだ...?
翌月に来る25個分の請求書の支払いが不安になり、Sくんにコンタクトを試みます。
電話、電報、手紙...と当時考えられるあらゆる手段を尽くしましたが、その後Sくんと連絡が取れることはありませんでした。
ビデオ店や、アルバイト仲間にも網を張っておきましたが全く駄目でした。
授業料としては高い出費となり、友人を一人なくしました。
最初の時点で断っていたら、今でもSくんと交流があったでしょうか?
Sくんは今どこで暮らしていて、この件を憶えているのでしょうか?
そして、実際あのときSくんには何があったのでしょうか?
今でもSくんが見つかればお金を返してもらって、本当の話を聞かせて欲しいと思っています。
当時の私たちには大変な金額でしたが、お互い中年になった今では絶対に払えない額ではないわけですし、以降のお付き合いはもちろんあり得ませんが、お互いに思い出にするためには払うものは払っていただかないと。(笑)



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