2007年9月17日

アパートの老人 その2

こちらにまとめ編をアップロードしてありますので、どうぞ♪

私が帰国する日、アパートの前でタクシーを拾い、階下の女性が見送ってくれましたが、その場にいつもいるはずの老人はいませんでした。

その前日には会ったと思いますが、どうせ明日お別れを言えると思ったので、結局別れを言えないままになってしまいました。

8年後...

私は再びニューヨークの地を踏みました。
やっと友人たちに会いにいける時間ができたからです。

階下の女性とは手紙を半年に1本くらいやり取りしていたので、旦那と出会って3日で結婚したことも、娘が生まれたことも、郊外に家を買って引っ越したことも、旦那は家のローンを返すために仕事を二つ掛け持ち平日はニューヨーク、週末は家という生活をしていることも知っていました。

初日は時差ぼけ調整で捨てて、二日目は音楽関係の友人たちに会い、三日目階下の女性に会うために郊外の家を訪ねました。

「アパートを見てきたよ。何も変わってないね。」
「老人はいなかったでしょ。」
「うん。いなかった。元気なの?」
「死んだわ。あなたが帰国してすぐ。」
「そうなんだ...」
「彼、一人だったでしょ。部屋で死んでいたんだけど、発見されるまでに随分かかったのよ。」
「...。」
「ほら。あのアパートのホールは臭かったでしょ。誰も死臭に気づかなかったのよ。」
「笑えない話だね。」
「大家さんがしばらく彼の姿を見ていないからって、合鍵で部屋を開けたら亡くなってたの。」
「で、どうしたの?」
「市の衛生局が死体を引き取りに来たわ。」
「家族は?」
「彼は本当に天涯孤独だったのよ。」
「結婚したこともなかったの?」
「なかったそうよ。」

私はホテルへ帰るバスの中で、彼の孤独を思いいたたまれなくなりました。
偉くはなかったけど、正しく生きた人でした。
ただ、パートナーにめぐり合えなかったのか、結ばれない恋を選んでしまったのか...そこのボタンがうまくはまらなかっただけなのに、誰にも看取られず一人で死んでいきました。
どうして彼はニューヨークでの一人暮らしを選んだのでしょうか。

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コメント

なんか胸にキュンとくる話ですね
大都会の孤独死・・・・ 可哀想です

そうですね。
細木数子さんが、将来孤独になって…といった話をよくなさいますが、わたしはこの老人のことがあるので、素直に受け入れています。

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